ケルト神話に登場する「死の犬」には、よく混同される2つの存在があります。
スコットランドのクー・シー(Cù Sìth)とウェールズのクーン・アンヌーン(Cŵn Annwn)です。
どちらも死と異界に関わる犬ですが、その役割や世界観はまったく異なります。
この記事では、両者の違いを詳しく解説します。
一言で言うと:本質的な違い
- クー・シー(Cù Sìth):個として現れ、死と異界の境界を告げる犬
- クーン・アンヌーン(Cŵn Annwn):集団として現れ、異界の王に属する狩猟犬
クー・シー(Cù Sìth):境界を告げる孤高の犬
出自と特徴
- ゲール系(スコットランド・アイルランド)の伝承に登場
- 妖精界(シー)に属する犬
- 基本的に単独または少数で出現
- 妖精の行列(フェアリー・ホスト)や死霊行進に随伴
- 巨大で、体色は緑または白、時に黒
- 鳴き声は三度まで — これが死の予兆となる
役割
クー・シーは死を「連れてくる」存在というより、死が近いことを知らせる存在です。
人間と異界の境界を示す標識のような役割を果たします。
妖精に属していますが、特定の王に直属しているわけではなく、比較的自由な存在として描かれます。
印象とニュアンス
- 静謐で個人的な出現
- 夜・霧・丘・家の近くといった場所に現れる
- 恐ろしい存在ではあるが、残酷ではない
「あなたの人生に直接触れてくる異界」 というイメージです。
クーン・アンヌーン(Cŵn Annwn):異界の王の狩猟犬
出自と特徴
- ウェールズ神話に登場
- 冥界アンヌーンの王 アラウン に属する
- 必ず群れで出現
- 白い体に赤い耳
- 夜空・雲・狩りの行進と結びついている
役割
クーン・アンヌーンは異界の王の公式な猟犬です。
死者・魂・逃げた存在を追う役割を担っています。
ワイルドハント的な要素が非常に強く、組織的な狩猟隊としての性格を持っています。
印象とニュアンス
- 儀式的で集団的
- 王権・秩序・狩猟という概念と結びついている
- 避けられない運命
「世界の構造としての異界」 という印象を与えます。
比較表:一目で分かる違い
| 項目 | クー・シー | クーン・アンヌーン |
| 地域 | ゲール系(スコットランド中心) | ウェールズ神話 |
| 数 | 単独・少数 | 群れ |
| 所属 | 妖精界(比較的自由) | 冥界王アラウン直属 |
| 体色 | 緑・白・黒 | 白+赤い耳 |
| 役割 | 死の予兆・境界 | 異界の狩猟・捕縛 |
| 印象 | 個人的・静謐 | 神話的・行進 |
「ゲール系伝承」は、ケルト神話の一部で、特にアイルランドとスコットランドのゲール人(ゲール語を話すケルト系民族)に伝わる神話・伝承を指します。
ケルト神話は大きく「ゲール語の神話」(アイルランド神話・スコットランド神話)と「ブリソン諸語の神話」(ウェールズ神話)に分けられます。
つまり:
ケルト神話 = より広い概念(ゲール系+ウェールズ系など)
ゲール系伝承 = ケルト神話の中の一部門(アイルランド・スコットランド)
クー・シーはスコットランド中心のゲール系伝承、クーン・アンヌーンはウェールズ神話なので、両者とも「ケルト神話」に属しますが、異なる言語・文化圏の伝承ということになります。
ワイルドハントとの関係
両者のワイルドハントとの関係性も異なります。
- クーン・アンヌーン:ほぼそのままワイルドハントの構成員として機能します。
彼らは異界の王の狩猟隊そのものです。 - クー・シー:ワイルドハントに合流することもありますが、必須ではありません。
より独立した存在です。
つまり、クーン・アンヌーンは「制度」であり、クー・シーは「兆し」という違いがあります。
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まとめ
クー・シーとクーン・アンヌーンは、どちらも死と異界に関わる犬ですが、その性質は明確に異なります。
クー・シーは個人的で静かな存在で、あなたの人生に直接触れてくる異界の使者です。
一方、クーン・アンヌーンは組織的で神話的な存在で、世界の構造としての異界を体現しています。
ワイルドハント伝承を理解する上で、この2つの犬の違いを知ることは、ケルト神話における死と異界の多様な捉え方を理解する鍵となります。

似ていても少しの違いがあるのですね。




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