雪の精たちの秘密の集い —冬の森にて、語られぬ声が舞う—

冬の詩 Poetic Prose
A mystical winter forest shrouded in silver mist*

冬の森には、人知れず営まれる神秘の時間があります。

雪が静かに降り積もる夜、霧に包まれた木々の間で、小さな光が瞬き、見えない翼が風を切る音が聞こえる――そんな幻想的な光景を、あなたは想像したことがあるでしょうか。

本詩集「雪の精たちの秘密の集い」は、冬の森に宿る魔法と記憶をテーマにした四篇の詩から成る作品集です。

雪の精、シマエナガの精、スノーマンといった冬の使者たちが織りなす、静謐で幻想的な物語を作りました。

ここで語られるのは、忘れられた願い、凍てついた約束、そして永遠の出会いの物語。

冬の森の幻想文学において、何よりも大切にしたのは、読者の心に静かに降り積もる雪のような、穏やかな感動です。

寒い冬の夜、温かい飲み物を手に、この詩集をゆっくりとお読みください。

きっとあなたも、雪の精たちの秘密の集いに招かれることでしょう。

 

霧の帳の向こうに

白銀の霧が森を包み
足音さえも凍る宵
枝の先に灯る光
それは精たちの呼び声

誰も知らぬその場所で
雪の精は輪を描く
言葉なき舞いの中に
忘れられた願いが溶ける

 

氷の灯火

枯れ枝に咲く氷の花
ひとつ、またひとつ、灯るたび
精たちは記憶を語る
風に消えた名の物語

「あの人は、春を待っていた」
「この雪は、約束の証」
静かなる集いの中で
時は凍り、心はほどける

 

羽根の記憶

白き羽根が舞い降りて
雪の輪にそっと触れる
シマエナガの精が告げる
「遠い空に、まだ灯はある」

その声に、スノーマンは微笑む
枝の先に、希望が宿る
たとえ春が遠くても
出会いは、永遠の証

 

集いの終わりに

月が昇り、雪が深まる
精たちは静かに消えていく
ただ残るのは、氷の輪
そして、誰かの心の温もり

「また来年、ここで会おう」
風がそう囁いた
雪の精たちの秘密の集い
それは、冬の魔法の記憶

 

あとがき

この詩集を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「雪の精たちの秘密の集い」は、冬という季節が持つ静けさと孤独、そしてその奥底に潜む温もりと希望を表現したいという想いから生まれました。

雪の結晶ひとつひとつに物語があるように、私たちの日常にも、目には見えない小さな魔法が息づいているのではないかと思います。

四篇の詩は、それぞれが独立した物語でありながら、ひとつの大きな円環を描くように構成されています。

霧に包まれた森での出会いから始まり、記憶の語り合い、希望の再確認、そして別れと再会の約束へ――これは、季節が巡るように繰り返される、永遠の物語です。

シマエナガという北の国に住む小さな白い鳥を登場させたのは、その愛らしい姿が「雪の精」そのものだと感じたからです。

真っ白でまん丸な顔は、雪だるまや豆大福のよう。

冬になると羽毛がふくらみ、さらにふわふわと丸くなるその姿は、雪景色の中にひっそりと現れる妖精を思わせます。

「雪の妖精」という愛称で親しまれているこの小鳥の、愛らしくも凛とした佇まいに、私は深い感動を覚えます。

厳しい冬を生き抜く小さな命の強さと、その純白の美しさは、まさにこの詩集のテーマそのものです。

この詩集が、寒い冬の日々に小さな温もりをもたらし、あなたの心に特別な記憶として残ることを願っています。

もしかしたら今夜、窓の外に降る雪の向こうに、小さな光が見えるかもしれません。

それは、雪の精たちからの招待状かもしれませんね。

どうか、温かくしてお過ごしください。
そして、また来年の冬に。

 

azuki
azuki

本日は物語の序章です。次は雪の精たちが登場します。

 

 

 

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