【星と花の婚礼】ひまわりと太陽の娘

【星と花の婚礼】ひまわりと太陽の娘 Poetic Prose
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詩的な童話と花文化コラムを織り交ぜた記事

夜空を見上げると、星が瞬いています。
足元を見れば、花が咲いています。

けれど私たちは、星と花が語り合う姿を見たことがありません。

星は空のもの。
花は大地のもの。

遠く離れた存在だからです。

それでも昔の人々は、空と大地が深く結ばれていることを知っていました。

太陽は花を育て、
月は潮を動かし、
星々は季節を知らせる。

天空と大地は、目には見えなくても互いに呼びかけ合っているのです。

「星と花の婚礼」シリーズは、そんな見えない絆を描くために生まれた物語です。

これは、一輪の花と一つの星の出会いから始まる小さな神話。
けれどその小さな出会いは、やがて空と大地を結ぶ大きな物語へと繋がっていきます。

どうぞ妖精の丘へお越しください。

星々が降りる夜に。

夜の風が静かに草原を渡る。

ここは「妖精の丘」。
一面に咲く花々の中でも、
ひときわ鮮やかな黄色い花が月明かりを受けて揺れていた。

星々が瞬く夜。

空からひとりの星の精が降りてくる。
銀色の光をまとったその姿は、まるで流れ星が人の形をとったようだった。

星の精は、丘の中央に咲く一輪のひまわりの前で足を止める。
その花は夜でありながら微かに輝き、凛とした美しさをたたえていた。

不思議な懐かしさが胸をよぎる。

初めて会うはずなのに。
遠い昔、どこかで出会ったような。

そんなデジャヴ。

すると、ひまわりの花が柔らかく光り始めた。
花びらの中心から、一人の花の妖精が姿を現す。

「こんばんは」
星の精は微笑んだ。

「こんばんは。お久しぶりです」
花の妖精も微笑み返す。

「え?」
星の精は首をかしげる。

「会うのは初めてだよ」

花の妖精は少し考えたあと、静かに答えた。

「そうかもしれないわ。でも、とても懐かしいの」
「前世の記憶かもしれない」

「花は種になっても、また花を咲かせるでしょう?」
「だから私たちは、ときどき昔の夢を覚えているの」

星の精は夜空を見上げた。

星もまた死んでは生まれ、消えては輝く。
もしかすると、自分たちも似ているのかもしれない。

こうして。

ひまわりの花の妖精と星の精は出会ったのである。

 

太陽を父と呼ぶ花

ひまわりは、生まれた時から太陽を見て育った。

大地の温もり。
根を潤す水。
吹き抜ける風。

それらすべてが彼女を支えていた。

けれど、もっとも強く心を惹かれたのは太陽だった。

芽吹いたばかりのある朝。
土の中から顔を出した瞬間に見た黄金の光。

それは世界そのもののように感じられた。

ひまわりは思った。

「この光がお父様なのだ」

太陽は何も語らない。
だが、その光はいつも真っ直ぐだった。

誰にも分け隔てなく降り注ぎ、
花々を育て、
実りを与え、
生命を支える。

ひまわりは太陽を見つめ続けた。

その大きさに憧れた。
その輝きに憧れた。
その強さに憧れた。

「私も、お父様のようになりたい」

それが幼い頃からの願いだった。

妖精の丘に咲く花々もまた同じだった。

皆、父なる太陽の光を受けながら、
少しでもその姿に近づこうと背を伸ばしていたのである。

 

ひとこと花コラム

父の日とひまわり

近年、日本の父の日ギフトとして人気を集めている花のひとつが「ひまわり」です。

ただし、「父の日の花=ひまわり」と決まっているわけではありません。
日本では黄色いバラやひまわり、オレンジ色のバラなどが定番として選ばれています。

黄色いバラと並んで人気が高いです。

父の日に花を贈る習慣の起源はアメリカにあります。

もともとは、

  • 健在な父には赤いバラ
  • 故人となった父には白いバラ

を贈ったことが始まりとされています。

その後、日本では1980年代に「イエローリボンキャンペーン」が広まりました。

黄色には、

  • 幸せ
  • 希望
  • 尊敬
  • 喜び
  • 温かさ
  • 愛する人の無事を願う気持ち

といった意味が込められているとされます。

そのため父の日には黄色い花が贈られるようになりました。

  • 日本では1982年にFDC日本ファーザーズ・デイ委員会が 「黄色いリボンでお父さんに贈り物をしましょう」 「親のいない子に愛の手を」を掲げてイエローリボンキャンペーンを開始した。
  • 黄色は他にも「富貴」「向上」「嬉しさ」「楽しさ」といった意味があり、またイギリスでは黄色が「身を守るための色」とされていたものがアメリカに伝わり「愛する人の無事を願うもの」となったという背景もあります。

 

ひまわりの花言葉

ひまわりには、

  • 憧れ
  • 愛慕
  • 敬慕
  • 情熱
  • 輝き
  • あなただけを見つめる

といった花言葉があります。

特に「敬慕」は父の日との相性がよく、
感謝というよりも、

「尊敬しています」
「あなたを慕っています」

という気持ちを表す花といえるでしょう。

まるで太陽を見つめ続けるひまわりのように。

  • 他にも、
    「光輝」「願望」「未来を見つめて」などの花言葉があります。

 

星と花の婚礼へ

星の精はまだ知らない。

この出会いが、
やがて空と大地を結ぶ物語へ続いていくことを。

ひまわりもまだ知らない。

自分が憧れ続けた太陽とは違う光を、
いつの日か愛することになるのを。

夜空には無数の星。
丘には無数の花。

その中で巡り合った二つの光。

それは、まだ始まったばかりの婚礼の物語であった。

 

あとがき

ひまわりは太陽を見つめて育ちます。
その姿は、憧れそのものです。

私たちもまた、人生のどこかで誰かに憧れながら歩いているのかもしれません。

強くなりたい。
美しくなりたい。
優しくなりたい。

そんな願いは、ひまわりが太陽へ向ける視線によく似ています。

けれど物語は、憧れだけでは終わりません。

ときに私たちは、自分が追い続けていた光とは別の光に出会います。

それはもっと静かで、
もっと遠くで、
けれど不思議なほど心を照らす光です。

妖精の丘で出会った星の精と花の妖精も、まだそのことを知りません。

二人の運命はこれから少しずつ動き始めます。

空と大地。
星と花。
光と命。

その結びつきがどのような物語を描いていくのか。

「憧れの太陽」から「運命の星」へ物語が移行していきます。

「童話」と「神話」の中間にあるような物語。

また次の夜、妖精の丘でお会いしましょう。

 

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azuki
azuki

太陽のように、元気になりたいと

いつも願っています。

 

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